記憶には優先順位がある

占いと認知バイアス

ちょっとした占いだといいんですけど、占いの帝王と呼ばれる四柱推命や、気学のトップにある奇門遁甲など、習熟に時間がかかるものは、やっぱり記憶力との闘いもあります。

自分が占い師として鑑定をしてきた、その膨大なデータは、脳で暗記というより、体にしみこむという形で地となり肉となる、これが占い師としてのステップアップではあります。

ただ、人は忘れるもの。

占いもやってないと腕が鈍ります。

あんまり軽く処理していたら頭に入りません。

何事もマンネリは良くない。

ということで、なにかぱっと心に残ること、いいことでも悪いことでも、そういう人の鑑定をやると、その背後にある話と相まって、すごく記憶に残るんですよね。

がんになってしまったお友達とか。

すごいジェットコースターのような人生を送ってきたのに今は結構安定した平和な生活をしている人とか。

なんか賢いのにどうしてもうまくいかない人とか。

そういう人は、「なるほど水が旺じているからこうなるんだね」とか、しっかり記憶に残るんですよね。

手軽には、芸能人や犯人の占いですけど、まぁ実際にあってない人なんで、やっぱりインパクトは弱めです。

なので、占い師のみなさんにはぜひ、自分の中のキラーアイテムならぬ、キラー鑑定例を持ってほしいと思うのです。

そう、そういうことでいうとですね、占い師にとっての鑑定というイベント、鑑定というリストは、そのカギとなる要素に基づき、絞り込むことができるわけです。

そういう話って、認知バイアスにもいろいろありますよ。

さっそくみてみましょう。

サフィックス効果

サフィックスって、接尾語のことで、英語でいうと複数形の最後の-sとか、そういうのだそうです。

そこから転じて、とにかく最後に、終わりを意味するサインを付けると、そのサインが付いたものが逆に記憶に残らないとのこと。

なんだかへんな気分ですよね。普通、なにもサインを付けずにリストアップすると、最後の項目が印象に残るものですが。

だから、占いの鑑定においても、ほんとに伝えなくてはいけないことを、「ではこれで最後ですが・・・以上です」とかいうと、そこは記憶してもらえない可能性がありますね。

もう終わりってなると、頭の能力も「しゅーりょー」となるってことでしょうか。

子供のころに、授業おわらないかな、早く給食食べたいな、そわそわ、としているときに、「はいではこれで授業を終わりますが、・・・」はもう頭に入らないな、確かに。

系列位置効果

今度は、さっきみたいに「終わり」ってものを付けずに、順々に伝えるとき、最初と最後は気になるけど、途中ってどうですか?忘れちゃいますよね。

あんまり条件として特異でないから、そこに気持ちのピークを持って行けず、注意散漫になるんでしょう。

もし占いの教室とか、有名な先生の講演に参加するときは、かならずメモしましょうね。やっぱり途中はだらけちゃうんで。

部分手がかり効果

これはあるあるですね。

占いにいって、本当はこれからの新しい仕事がうまくいくかとか、そういうことを聞きたかったのに、「あ~運勢悪いですね、大殺界です」なんていわれたらどうします?

もういろんなこと頭からすっぽ抜けて、「え、なになに?」となりますよね。

人間ってパニックになっていると、ほんと、1,2,沢山、って感じで、3つ以上のことが覚えられないくらいダメな脳みそになっちゃいます。

そうでなくても、二階に用事があって上がったら急に携帯に電話がかかって、終わると、「あれ、何しに上がってきたんだっけ?」となりますよね。

逆に、それだけいろんなことを覚えておくことができないからこそ、メモをしたり、人に聞いたり、ネットで調べたりして、何度も忘れながらやるしかないという感じでしょうか。

新近効果

人ってふしぎなもので、物事の印象や認識が、総合的に判断した結果、ってことではなく、単に最後あるいは直前に与えられた限られた情報だけの印象で決めることが多いってことあります。

このまえも、鑑定に来られたお客さんが、どうも僕のことにイライラしているようで、いつも丁寧に対応しているつもりだった僕も、「どこがわるいんかな?」とちょっと考えていたんですけど。

後で聞いたら、直前によったパン屋でなにやらパンの厚みのことでぎゃーぎゃーやりとりした後だったから、イラついていたんだって。

それってとばっちりだよね。

なんだっけ、いつも6枚切りだから、「6枚切りお願いします」っていったら、なんだろう、一斤の半分を基準にした6枚なのか、一斤を基準にした6枚なのかって屁理屈いわれて、透けるような薄さになったり、死ぬほど分厚くなったりと、すごいやり取りしていたようで・・・

そこまでは占いで分かりませんでした・・・

初頭効果

初めて会う人って、やっぱ第一印象大きいですよね。

でも、デートの時もなんでもそうですけど、結構そのあといろいろお話しするのであれば、いったん下がったうえで上げるってのも効果ありますけどね。

初頭効果でファーストコンタクト最悪の占い師でも、そのあと、ばったばったと当て続けていくと、もう虜になってしまうかもしれませんね。

記憶抑制

なんでもかんでも覚えている人もいますが、どうですか?普通は無理ですよね。

でもそんな中、自分に関係ないことは一切覚えないって人、いませんか?

そんな人って、結構仕事ができたりします。

四柱推命でも、水が強い人って、こっちが良かれと思って、聞かれもしないことを伝えようとすると、すっごく拒否する人多いんですよね。

あと、「あ、これ自分には関係ないや」というモードに入ってしまったお客さんは、こっちが何を言っても、右から入って左に流れる、そんな状態になってしまってますね。

モダリティ効果

モダリティっていうのは、人間の五感のようなものをいって、たとえば、聴覚と視覚の両方に訴えるものは、マルチモダリティといったりします。

人間ってどうしても視覚に頼る人間なので、どうです?何か出来事を人に説明するとき、映像として思い描きながらやりますよね?

頭の中で再生するときは映像のほうがやりやすいんですね。

逆に言うと、あえて触覚や嗅覚の思い出を大事に記憶するのも結構素敵なものです。

それを日記に残して、時々、あの時の感覚を、視覚に頼らずに思い出すと、また新鮮なものです。

持続の軽視

人間て、いやなことがあったら、すごくダメージを受ける人もいますが、もう記憶から欠落させるって人もいますね。

いちいちいやなことを覚えていると負担だから、という、ある種才能かもしれませんが。

結構そういうこともあって、どれだけいやなことが続いていたか、あまり気にしない傾向にあるようです。

なので、パワハラとか、旦那さんからいじめられたとか、そういうことで占いで相談される方も多いですが、改めて聞くと、何年もその状況がつづいていることに、本人が愕然とすることも多いです。

項目数効果

「仕事がうまくいかないんです」

「なにをやったらいいのかわかりません」

自分を見失う人っています。用神が1つもない方は、なぜ自分がこんな不幸をしょっているかすらわからない時もあります。

そうした人に、どのような方向に向かえば自分らしく生き生きとした人生を送ることができるか、指し示すのも占い師の仕事です。

そんな時にお勧めするのが、メモ、リストアップです。

よくありますよね。僕は、きれいなノートを奮発して買って、そこに自分がやりたいことをどんどん書いていくことを進めます。

人間って、自分の夢ってあまり頭の中に刻まれてないんですよね。

自分がどういうときに一番華やいでいたのか、あらためて幼少期から鑑定中に聞く過程で、本人が気づいたりします。

夢を記憶するってのは重要です。そのためには、どんな夢があるのか、リストアップすることが重要です。

紙という外部記憶装置を利用することにより、リストアップすればするほど、思いのほか、頭の中には楽しい夢で満たされて、人生豊かになります。

系列記憶効果

人間の記憶って不思議です。

鑑定の内容をしっかり心に刻んで持って帰ってもらいたいから、日々工夫しているのですが。

伝え方の順番によって、しっかり伝わったり、まったく伝わらなかったりします。

やっぱり多くの場合、起承転結のしっかりしたお話をしたほうがいいように思えますが、それもケースバイケースでした。

伝える順番って、工夫のしどころですね。

誤情報効果

記憶が上書きされるとかいうと、SFチックな気分ですけど、結構普通に起きてしまいます。

子供のころの記憶なんかそうで。。。

両親が何度も「あんたが子供のころはね」と言われ続けることにより、つまり後から提示された情報により、本当の自分自身の記憶が出てこなくなるってことあります。

自分の記憶と思ったら違ってたとか。

それでふと、昔の日記帳とか、小学校の頃の友人とか、別のルートで思い出すと愕然としたり。

自分で自分に誤情報を上書きしてしまう人も多いですから、そういう方は占いやカウンセリングなど、第三者の言葉を聞く機会もあったほうがいいでしょうね。

他人に話していくうちに誤情報が明らかになって、本当の記憶を獲得することもありますし。

平滑化と強調化

1年間365日、どの日に食べた朝食はなにとか、覚えてないですよね。

四柱推命は結構幼少期の話も聞いたりします。

うかがうと、やっぱりずいぶん曖昧になっていて、ところどころのイベントごとがすごく詳しい記憶になっていたりすることが多いです。

ピーク・エンドの法則

四柱推命でその人の一生の運勢の流れを記述した後、その波の周期に合わせて、お客さんの人生のピークがどう始まり、どう終わったか、簡単にグラフで書いてもらったりします。

結構ピークに向かうところ、そしてそれが終わるところ、これがしっかり認識できれば、これまでの人生を把握したようなものですから。

占いにかぎらず、自己分析などのツールは啓蒙書関連でいくつかありますから、一度試してみるといいかもしれません。

たとえばこれとかいいかもしれませんね。あとはお手軽にはストレングスファインダーですか。

でもストレングスファインダーは、自分の過去をさかのぼることはやらないしな。

自分の過去をさかのぼるといえば、メモ魔のあの人の本もいいかも。

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